こんばんは、バズバレッツの雷人です。
今日は一段と暖かい1日でした。ロンティーで過ごせる季節が一番好きなので嬉しいです。
さて、今日は「WUGC2016メン部門カナダ戦の試合分析」という記事です。
先週日曜日に2016年に行われたWUGCカナダ戦について改めてスコアをつけながら観戦してみました。
つい先日いつも使っているアプリ「Sports Board For Ultimate」でスコアを付け直しエクセルに出力して清書しました。(と言ってもまだ改善の余地はありますが・・。)
分析した結果見えてきたこともあるので解説していきます。
この記事を読むことで、試合のこういう局面が重要なんだということなどを感じていただければ幸いです。
WUGC2016メン部門カナダ戦の試合分析
今回題材に上げている2016年に行われたWUGCのカナダ戦は、勝てばトーナメントでアメリカと逆山に行けるというリーグ戦の中でも大一番の試合でした。
そのシビれる試合を今回スコアをつけながら分析してみました。
スコアリングのツール
今回試験的にいつもこのブログで使用しているアプリ「Sports Board For Ultimate」の「Score Board」という機能を使ってスコアリングを行いました。
アプリについては別記事で使い方など紹介しています。その後バージョンアップされているので少し古いですが参考にしてみてください。まだインストールしてない人はぜひ使ってみてください。(参考記事「当サイトで使っているアプリの紹介」)
後日「アプリの使い方・スコアボード編」の記事アップしました。
試合をオンタイムでスコアリングしていき、終わったらCSV出力しエクセルで編集することができます。
実際に編集したエクセルのリンクを貼っておきますので興味ある人は見てみてください(2016WUGC カナダ戦分析シート)
自分たちの試合や練習試合、身内練習でもいつもスコアリングできて管理できてると嬉しいですね。是非みなさんも使ってみてはいかがでしょうか。
スコアリングをして見えてきたこと
この試合については何度も繰り返し見ているのですが、スコアリングをしてみて今回改めて認識できたことなどを紹介していきたいと思います。
先に箇条書きで説明していくと
- マンツーではカナダはほぼバックアップ、逆に日本はほぼサイドアップ
- 日本が相手DFに対応してOFスタイルを変更
- 最初のブレイクチャンスを逃した後は被ブレイク率が上がる
- 日本のゾーン系のタイミングがGOOD
- ハーフコートマンツーの効果
- カナダのオフェンスは最初セットプレーから始まる
- タイムアウトの使い方
- 勝利を手繰り寄せたタケシセット
という感じになります。
マンツーではカナダはバックアップ、日本はサイドアップ
ディフェンスセットだったからあまり気にしていなかったのか、カナダは一試合通してずっとバックアップでディフェンスをしていることがわかります。
逆に日本はサイドアップがほとんどでバックアップをしたのは最後の方(カナダ11点目)のところだけです。
日本チームのディフェンスメンバーは当時監督コーチだけではなく選手間でコミュニケーションを取りながら次にやるディフェンスを決めていたのですが、ここまでサイドを続けた理由を思い出せませんでした。
基本的にサイドもバックも混ぜることが多いのですが、何か試合中にしかわからない理由があったのだと予測します。
日本が相手DFに対応してOFスタイルを変更
日本オフェンスの最初の2点について、オフェンス時間に注目すると1点目2分、2点目1分と時間がかかっています。
少し攻めあぐねている感、上手くいってない感があります。
そこでバックアップを継続してくるカナダチームに対して日本オフェンスは「バック側のスペースを空けて攻めるサイドスタック」にオフェンススタイルを変更しています。(参考記事「サイドスタックのオフェンス」)
オフェンスは相手のディフェンスが何をしてきているのかを見極めて柔軟に対応しながら先手先手を打っていくことが重要と言えます。
最初のブレイクチャンスを逃した後は被ブレイク率が上がる
個人的に試合の中でいくつかある重要なポイントの中でも「ファーストブレイクチャンス」をモノにできるかというところはかなり重要だと感じています。
この試合日本は先にターンオーバーを奪ったものの最初のブレイクチャンスを逃してしまいます。
これはかなりあるあるですが、その直後のオフェンスはブレイクされる率はかなり高いです。
原因はわかりませんが、オフェンスメンバーに与える影響なのか試合の流れが変わる瞬間です。
単純に考えればただキープされただけなのですが、チャンスを逃してしまったというところが大きく影響を及ぼしていることがあります。
その後のゲーム展開ではその一つの「ブレイクミス」が勝敗を分けていることも多々あります。
日本のゾーン系のタイミングがGOOD
日本がゾーン系のディフェンスを仕掛けたタイミングがいくつかありますがタイミングがGOODです。
1回目のゾーンは3−3からのターン。
ここは先ほど書いたようにオフェンスに時間がかかっていることとブレイクされた直後であるので、オフェンスに修正の時間を取らせたい場面です。ゾーンで時間稼ぎをすることでオフェンスを休ませながら冷静に次なる修正をさせる為のゾーンです。
実際におよそ2分間の時間稼ぎができ、その後オフェンスはサイドスタックに変更し相手ディフェンスに対応したので、ゾーンとしてはしっかりと役割を果たしています。
2回目のゾーンは10−8からのターンでこれはブレイク直後のターンです。
この狙いとしては、ブレイクされたオフェンスは次のターン修正しようとするので違うディフェンスをすることで相手に修正させない狙いがあります。
さらにゾーンはそのターンよりも次のターンがすごく重要で、次のマンツーマンをより聞かせる為の布石に使うことがあります。実際このゾーンの次のターンのディフェンスではマンツーマンでしっかりとブレイクをしています。(参考記事「ディフェンスにおける戦術の組み立て方」)
この試合ゾーンを2回使っていますがどちらも上手く機能したゾーンと言えます。
ハーフコートマンツーの効果
この試合を見るにあたり「???」となるシーンがあると思います。
それが6−6のタイミングで日本が仕掛ける「ハーフコート」です。スローオフを投げて守りにいかないディフェンスです。
この「ハーフコート」にはいくつも狙いがあるのですが、詳しくは割愛するとして、そのターンあっさりと点を取られてしまうのですが注目して欲しいのは両チームの表情です。
カナダは「どこか油断している笑み」に見えます。
一方日本は「何か企んでる笑み」ですね。笑
これもゾーンと同じく”布石”です。次のターンでオフェンスがしっかり取れば7−7となり取ったもんハーフタイムです。
ここのマンツーマンでオフェンス力のあるメンバーを投入し実際ブレイクに成功しています。
ハーフタイムへの入り方はすごく重要です。後半に勢いを持って入れるかどうかは前半の後半の展開が大きく関わってきます。
このハーフコートは次の直球をよりよくさせる為の超スローカーブだったということです。
カナダのオフェンスはほぼ最初セットプレーから始まる
これも試合中はそこまで気づけなかったのですが、ほとんどのオフェンスがセットプレーからスタートしていることがわかります。
多いのは「さざなみ」と「まさな(私が勝手にそう呼んでいるだけ)」が多いです。(参考記事「オフェンスのセットプレー集」)
サイドスタックの時は「さざなみ」、ホライゾンの時は「まさな」という感じでそこまでたくさんの種類をやっているわけではありません。
もしこれが事前に分かっていればもっとディフェンスで止められた可能性は高いですね。
実際に2012年のWUGCカナダ戦ではアナライザースタッフが「オスカーの鉄板カット」というセットプレーを事前分析し、日本チームはそれを徹底的に防ぐことが出来ました。
アルティメットもタブレット片手に監督コーチが分析する時代がそのうちくるかもしれませんね。
タイムアウトの使い方
日本チームのタイムアウトの使い方がいいですね。と言っても前後半一回ずつしか使ってないのですが、使うべきところで使っているという印象です。
1回目は、7−7からのブレイクチャンスで攻めている最中のタイムアウト。ここでしっかりと息を整えて、どう言った攻めでブレイクを狙うのか再確認してブレイクにつなげています。
2回目は8−8からの後半最初のオフェンスです。シュートレシーブをしてその後カウントがかさみ状況が良くないのでタイムアウト。
タイムアウトを取ることでカウント以外の状況をリセットできるのでそこから落ち着いてオフェンスすることが出来ます。
また、後半の一発目のオフェンスなのでキープが絶対条件になるので慎重にいく為タイムアウトをとったと考えられます。
その後の展開を見てもどちらのタイムアウトも良いタイミングで使っていると言えるでしょう。
関連記事「ゲーム中のタイムアウトの使い方」
勝利を手繰り寄せたタケシセット
この試合もっともキーとなったと言っても過言ではないセットが9−8からの1ターンである。
このセットのメンバーは今見てもすごく不思議なメンバーで構成されていた。なぜならば普段一緒のセットになるはずのない大体大3人衆(松野さん、ヤスオさん、タケシさん。この3人は大学からの同期であり仲良し3人組である。)が一緒になっているセットだった。
大会通してもこの3人が一緒のセットになったのはこのセットだけではないかと記憶している。大学の先輩への敬意と愛情を込めて怒られることを覚悟でここでは「タケシセット」と表現することにしました笑。
前置きはさておきこの不思議なセットはまず、ヤスオさんが自分のマーカーをポイ捨てすることからストーリーが始まる。
ヤスオさんがポイ捨てしたオフェンスはすかさず奥へ走ります。スローワーもチャンスと見てシュートを放ちます。しかし、奥で待ち構えていたのはヤスオさんのポイ捨てを予測してた松野さん。上競りで見事にブロックします。
その後オフェンスになり、タケシさんの出番です。大会通して出番の少なかったタケシさんでしたが、合宿中から「俺肩痛くてハンマー大会?で一回しか投げられへんねん」と自らのハンマーが”諸刃の剣”であることをアピールしていました。(本当かどうかさておきいっつも言ってました笑)
その大会一度しか投げることのできない諸刃の剣ハンマーを見事にこの場面で通します。この場面には流石の一言しか出ません。
ブレイク後のチームの雰囲気や喜び方を見てもらってわかる通り、この「タケシセット」はブレイクという結果だけでなく、チームに勢いを吹き込み勝利を引き寄せる大会一番のセットになりました。
まとめ
今回いつも見ている動画を改めてスコアリングして見ることで、いろいろな再発見がありました。
もしもこのような分析を試合前に行うことが出来ていれば、試合を優位に進めることができる可能性があります。
バズバレッツでもこう言った動きは少しずつ進んでいます。
相手の分析のみならず、自分たちのチームがどのようなタイミングでブレイクできているのか、タイムアウトを取っているのか、流れを引き寄せたプレーはどれか、など考えるきっかけになるかと思います。
今時間があるからこそできることもあるかもしれません。
この先のことは誰にもわかりませんが、今日という日は二度とこないので今日できる努力をしておきましょう。
それでは今日はこの辺で、
また後日👋