こんばんは、バズバレッツの雷人です。
とうとう緊急事態宣言が解除されました。やっとアルティメットができる日々が戻りそうです。
しかし、ここで油断してチーム内から感染拡大なんてことがないように慎重に再開させていく必要がありそうですね。
ともあれ一歩前進して良かったです。
さて、今日は「WUGC2016日本代表メン部門準決勝オーストラリア戦の試合分析」という内容で書いていきます。
以前のWUGC2016カナダ戦の分析記事に続く試合分析シリーズです。
過去の試合を改めて振り返ってみることで、試合運びや戦術の参考になればと思います。
WUGC2016日本代表メン部門準決勝オーストラリア戦の試合分析
この試合は2016年に行われたWUGC(世界アルティメット&ガッツ選手権大会)のメン部門準決勝のオーストラリア戦です。
日本のメン部門にとっては勝てば18年ぶりの決勝の舞台という試合でした。
何度も見返した動画ですが、改めてスコアリングしながら確認してみました。
なぜこのような世界大会準決勝という試合で最終15−9というスコアで勝利を収めることが出来たのか、改めて考えてみました。
スコアリングのツール
今回試験的にいつもこのブログで使用しているアプリ「Sports Board For Ultimate」の「Score Board」という機能を使ってスコアリングを行いました。
アプリについては別記事で使い方など紹介しています。(参考記事「アプリの使い方・スコアボード編」)まだインストールしてない人はぜひ使ってみてください。(参考記事「当サイトで使っているアプリの紹介」)
試合をオンタイムでスコアリングしていき、終わったらCSV出力しエクセルで編集することができます。
実際に編集したエクセルのリンクを貼っておきますので興味ある人は見てみてください(2016WUGC semifinal AUS戦スコアシート)
自分たちの試合や練習試合、身内練習でもいつもスコアリングできて管理できてると嬉しいですね。是非みなさんも使ってみてはいかがでしょうか。
スコアリングして見えてきたこと
今回改めてスコアリングをしたことで見えてきたことを紹介していきます。
先に書いていくと
- いきなり被ブレイク
- オーストラリアはほぼ全てのオフェンスでターンオーバーしている
- タイムアウトを取るとブレイクしやすい
- どちらもディフェンスはマンツーマン中心
- タイムアウト後のゾーンは有効的
- 前半の後半から勝負する勝ちパターン
という感じです。
それぞれ解説していきます。
いきなり被ブレイク
この試合ディフェンススタートとなった日本は、最初の点を取られた後のファーストオフェンスを自分たちの簡単なミスからブレイクされて0−2になってしまいます。
立ち上がりとしては最悪な出だしとなってしまいます。
しかし、その後のコート上の選手の表情を見ると笑顔が見られます。
むしろ最初の一点だったからこそうまく切り替えることが出来たのかもしれません。
結局その後、日本オフェンスとしてはそれ以降一つもブレイクを許すことなく試合を終えます。
オーストラリアはほぼ全てのオフェンスでターンオーバーしている
これは今回スコアとって見て改めて気づいたのですが、オーストラリアは最初の2点こそターンオーバー無しで得点しているものの、その後のほとんどオフェンスでターンオーバーを起こしています。
深い原因はわかりませんが、明らかにわかることは画面からも伝わるようにオーストラリアの選手は「疲労感」があります。
明らかに疲れていてプレーの質が下がってターンオーバーがかさんだのではないかと思います。
今は編集でカットされていますが、ハーフタイム中に日本の芝選手が「奴らはもう、疲れている!」と言ったのがマイクに拾われました。(面白かったのにカットされて残念)
対戦中であっても相手の疲労感を感じ取れるほどオーストラリアはここまでのトーナメントで疲れていたのかもしれません。
どちらもディフェンスはマンツーマン中心
この試合はどちらもマンツーマンディフェンスが主体になっています。
日本もマンツーマンが多いのですが、これは大会を通してディフェンスセットのマンツーマンディフェンスの状態が徐々に上がっていたためだと考えます。
日本は最初の2本はバックアップ、その後はサイドアップに変更しています。それからターンオーバーが増えたことを考えると実はオーストラリアはサイドアップのオフェンスの方が苦手だったのかもしれませんね。
確か、最初のバックアップは相手がシュートを打ってくるかどうかを見るためだったように記憶しています。(曖昧ですが)
タイムアウトを取るとブレイクしやすい
日本は前半の中盤からターンオーバーを起こすものの3連続でブレイクに失敗してしまいます。
前半の後半にさしかかろうというところで、4度目のブレイクチャンスでは「タイムアウト」を取り、その後きっちりとブレイクにつなげます。
この試合で日本はタイムアウトを3回取っていますが、その全てがブレイクチャンスのオフェンス中に取っており、しかもその後全てブレイクにつなげています。
出来過ぎなぐらい上手にタイムアウトを使うことができた試合だと思います。
関連記事「ゲーム中のタイムアウトの使い方」
タイムアウト後のゾーンは有効的
反対にオーストラリアは2回タイムアウトを使いますがどちらもブレイクされた後に、流れを一旦止めるためにタイムアウトを使っています。
この試合で初めてブレイクされたオーストラリアが前半6−6の時点でタイムアウトを取ります。
こう言ったときにはオフェンスを修正する話し合いが行われることがほとんどです。
そこで日本は攻撃的なゾーンを仕掛け、見事に連続ブレイクを奪っています。
ここから一気に流れが変わります。
ちなみにオーストラリアも日本がブレイクチャンスでタイムアウトをとった際にタイムアウト明けでゾーンを仕掛けてきているシーンがあり、日本はブレイクしたものの特典までに時間がかかっています。
相手がオフェンスを修正しようとしてタイムアウトを取ったと感じたらディフェンスをゾーンに切り替えるのは一つの戦術になりそうです。
(オーストラリアはブレイクされた後のオフェンスを必ずセットプレーでシュートを打ってくる情報があったので余計によかったのかもしれません。)
前半の後半から勝負する勝ちパターン
この試合までに日本は大会を通して成長し、「前半の後半から勝負する勝ちパターン」がついていました。
これはミーティングでも話に出ていたので、全員共通としてあった認識だと思います。
前半の前半で相手のオフェンスの特徴を掴み、前半の後半から勝負を仕掛けてブレイクしていくという試合運びがチーム全体としてできていました。
それが準決勝になっても個々がしっかりと理解しコート上で体現したので良い結果に繋がったのではないかと思います。
2015年AOUGCからの情報
この試合を語る上で欠かせないのが前年2015年からこのオーストラリア代表と度も試合をしているということです。
- 2015年のAOUGCの予選と決勝で2回
- 2016年ドリームカップで土曜日朝一に練習試合(日本代表として)
- 2016年ドリームカップ決勝で対戦(バズバレッツとして)
上記のように本大会までに4度も試合をしていました。(いずれも勝利)
その中で蓄積されていた情報もあり、事前にある程度の対策を打てたことがこの試合の勝利を近づけたのかもしれません。
アルティメットにおけるアナリティクス(分析)の分野はそこまでまだ重要視されていないような気がしますが、今後はタブレット片手に試合を行う日が来るかもしれませんね。
まとめ
前回のカナダ戦に引き続き試合分析をしてみましたが、改めてスコアシートをみるとよりその試合がどうだったかということがわかりやすくなります。
もっとこの分析の分野はチームビルディングしていく上で有効活用できそうな気がします。
また、気が向いたら別の試合の分析記事を書いてみます。
自分たちの試合も改めてスコアリングして見ることで普段気づけなかったポイントなどに注目できるようになるかもしれないのでぜひやってみてください。
というわけで今日はこの辺で。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
それではまた。