こんばんは、バズバレッツの能勢です。
いよいよ師走に入りました。
年末に向けて忙しくなっていきますが、インフルエンザ等流行りだす時期だと思いますので体調には十分に注意して乗り切りましょう。
さて、本日は今やなぜか日本中で使われている「ヤマト」というオフェンスの動きについて解説していきたいと思います。
以前質問をいただいておりました。
ヤマトなどの戦術はどのように、何を意識して練習すれば良いのですか?
何を意識してと言われると「試合を意識しろ」としか言えませんが、なぜこのプレーが生まれたのかなども含めて解説していきたらと思います。
いつから「ヤマト」は始まったのか?
2019年現在、今や全国にその名を轟かせている「ヤマト」という動きですが、その始まりは遡ること6年ほど前だと思います。
始まったきっかけはどのようなものだったか覚えていませんが2013年のアメリカで行われたWCC(West Coast Cup)という大会で意図的に使用していることがわかります。
この試合でヤマトの動きをしている時間帯は以下の通り
- 14:01 吉川選手#12の動き(時間がゆっくりのケース)
- 20:37 松野選手#10の動き(スローワーがすぐ投げているケース)
- 53:16 振角選手#1(現在は#17)の綺麗なヤマトは大事な場面でのDFメンバーでのブレイク+チームでやってきた意図的プレー「ヤマト」ということもあり盛り上がってます。
- 57:15 阿部選手#13の動き
- 1:07:43 田中(か)選手#29の動き
この一つの動画でもこれだけやっているということは、よほど意図的にやっていた時期ということです。
考えて海外に持って行ったプレーが通用すると確信に変わった大会でもありました。
他にもWCC2013の動画があるので時間があったら見てみてください。
当時25歳!ピチピチですね笑。
ヤマトをまとめたYouTube動画作りました。チャンネル登録もよろしくお願いします!
全国に広まった理由
「ヤマト」が全国に広まった理由としては、U23の代表監督をバズバレッツの選手が務めた時期があったためだと思われます。
多くの地域から選考されていたので、代表に選考された選手たちがそこで学んだ知識を自分たちのチームや地域に持ち帰って還元したことで広まったんだと認識しています。
ヤマトの意図
ここから解説に入っていきますが、そもそものヤマトの意図は、「ハメ側から脱出」です。
当時海外のチームと対戦する際、一本ウラ展開でダンプパスを出せても、次の3枚目のハンドラーがハードにDFされ、展開が止まってしまうケースがありました。
それを解決しようとして生まれたのが「ヤマト」の動きになります。
ヤマトの図解
それではいつものアプリを使って解説していきます。
上図のようにハメ側でディスクを保持している場合、DFにとって有利な状況になります。
そこから逆サイドの青丸のエリアへディスクを運ぶために考えられたプレーです。
- 一本ウラ展開をした後に②は一度ウラ展開を狙う(投げれたら投げちゃった方が良い)
- そうするとストーリングはウラを切る動きになるのでインサイドが空き投げやすくなる
- ①はパス後、コート内側の状況や②の動きを見つつ上がるフリをしたりしてチャンスを待つ
- スローワーのタイミングで横の動きでパスを受ける
- パスをもらった後はウィークサイドであるウラのスペースを狙って攻める
- (①のパス後、縦に加速することでDFは奥をケアし、横に抜けやすくなる)
その後ウィークサイドで攻める
ハメ逆から脱出し、逆サイドまでディスクを持って行くのが目的なので一本もらった後はハメ逆に向かって攻めていきます。
20:37 松野選手から始まった動きでウィークサイドへ斜めの動きで一気に逆サイドへディスクが運ばれているのがわかります。
この時、後ろにいるその次に合わせるべき人もしっかりとスローが出るなということを感じてスペースを開けたり、レシーブしたりする必要があります。
ハメ側から脱出することが目的なのですが、出ると予測しやすいパスなので一つのパスで終わらせないようにしましょう。
ひと手間が大事
14:01 吉川選手が展開した後、スローワーが投げるタイミングまで”間”を作っているのがわかります。
学生がやっているのを見るとレシーバーがスローワーのタイミングを無視して勝手に走っている場面をよく見かけます。
しっかりとスローワーの投げるタイミングに合わせ走ってあげる、”間”を作ってあげることが重要です。
スローワーが見ていないとパスは飛んできません。
大ヤマト
ヤマトをやって行く中で、ヤマトの動きが発展して「大ヤマト(オオヤマト)」というパターンもできました。
3枚目まで展開できたパターンでも、レシーバーの動きは基本的に変わりません。
①にとってコートの内側は見やすいのでミドルが狙っていないか確認しつつ、走ることが重要です。
「大ヤマト」は3枚目からの方が、インサイドのスペースが大きく空くのでスローワーが投げやすいというメリットがあります。
スローがインサイドというよりもオープンに出すスローになっているのがわかります。
この時もヤマト同様でパスを受けた後にしっかりウラを狙って行くことが重要です。
WCCジョニーブラボー戦9:04の古澤選手#18の動き(最初貰えなかったが、最終的に逆サイドでパスを受けている)
ケアされた時のタカサキ
ヤマトをケアされてマーカーにインサイド側を守られた場合は機転を利かして小ボンバーに切り替えます。
結局のところ相手DFあってのプレーなので、しっかりと相手DFに対応して動くことが大事になります。
スローワーにとって投げる選択肢を作ってあげるのがレシーバーの仕事です。
デザインされたプレーに名前をつけただけ
この「ヤマト」というプレーも「タカサキ」というプレーも自分たちが共通認識としてわかりやすくするために名前をつけているだけです。
そのほかにもバズでは今では使われていないプレーも含め、多くの名前のついたプレーやスローがあります。
その人の得意なスローに名前をつけたりします。(これは結構嬉しい。)
アルティメット用語辞典でも多く紹介しているのでまた見てみてください。
ヤマト・タカサキの由来
ヤマト・タカサキの名前の由来はアルティメット用語辞典にも書いていますが、”考案者の住んでいる地名”です。
単純な由来なのに、恐らくそんなことも知られず全国に広まりすぎている状況は笑えます。
ま、これはどうでも良いですね笑。
自分たちでプレーを考えて名前つければ良い
ここが一番大事なところです。
自分たちのチームでプレーを考えデザインし名前をつければ、自分たちしかわからない”チームオリジナル”のものができます。
自分たちがどんなプレーがしたいのか、ほかのチームに通用するプレーが何なのか、いるメンバーでできるプレーはなんなのか、これをしっかりと考える必要があります。
自分たちで考えたプレーは相手は知らないです。
そういったプレーはターンオーバーが起こる確率も低く成立しやすいです。
自分たちでもデザインプレーを考えてみましょう。
全国で同じプレーをする違和感・・・。
全国に広まっている「ヤマト」ですが、これはバズとして”海外で通用するために考えたプレー”です。
日本国内で大学生が真似するのは良いことだとは思うのですが、それが正解ということではありません。
本来であればチームが違えば、そのチームごとに鉄板プレーや、やりたいプレーがあるはずでチームの数だけ面白いプレーがあるはずです。
それなのにどこへ行っても「ヤマト」をやっているというのも少し違和感を感じるところです。
まとめ
今日はヤマトについて解説していきました。
全国に知れ渡っているプレーではあると思いますが、改めて意図や動き、さらに発展させるにはどうしたら良いかなどを感じてもらえたらと思います。
先ほども言ったようにそのプレーが正解というわけでもないですし、自分たちのオフェンススタイルにマッチするとは限りません。
一つのプレーを切り取ってわかりやすくしたデザインプレーなだけなので、真似はほどほどにして、自分たちのオリジナリティー溢れる名前のついたデザインプレーを開発していって欲しいです。
その自分たちが考えたプレーが相手に通用して、点が取れたときはチームは最高に盛り上がります。
アルティメットは意図的にプレーすることが大事です。
「自分たちで考えた意図したプレーが、相手に通用する」それがアルティメットの本当に楽しいところだと思います。
大阪体育大学時代、同期が考えたエンドゾーン前での必殺技のプレーの名前は、考えた時に食べていたお菓子から取って「果汁グミ」でした笑。
全国でユーモア溢れる、オリジナリティーのある名前のデザインプレーが増えることを願っています。
それでは今日はこの辺で。