アルティメットの「トラベル(トラベリング)」コール後の正しい再開方法

ルール・SOTG
この記事を書いた人
能勢 雷人

大阪体育大学BOUHSEARS(2007~2010)〜文化シヤッターBuzzBullets(2011~2022)〜Bustar
ポジション:ハンドラー
日本代表歴:2010WU23UC、2011,2015,AOUC、2012,2016,WUGC
埼玉県フライングディスク協会事務局長
JFDA公認ゲームアドバイザー
U.C.ABLAZERS(ユースチーム)創設

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おはようございます、バズバレッツの雷人です。

中国に転勤になったマーシーさんから、サイトを中国語か英語にできないの?と聞かれ、サイトの多言語化を目論んでいます。#中国ではディスクが爆流行りしているらしい。#14億人の市場

さて、今日は『「トラベル」コール後の正しい再開方法』というテーマで書いていきます。

随分前からこれについては違和感を感じていて、ほとんどのチームが間違った認識でプレーをしていて、しかもその方法が日本全体に浸透してしまっている状況です。

この記事を読むことで「トラベル」コールをした側もされた側も、正しい処理でプレーを再開できるようになります。

少しでもアルティメットのルールの理解に貢献できればと思います。

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「トラベル」コール後の正しい再開方法

「トラベル・インフラクション(以下トラベル)」には大きく以下の2パターンあることはみなさんも理解しているところだと思います。

  • パスを投げる時のトラベル
    (18.2.5.4. ディスクがスローワーの手から離れるまで確定させたピボットポイントを維持できない場合。)
  • パスを投げてない時のトラベル
    (ディスクをキャッチした後、スローワーは進行方向を変えることなく、可能な限り速やかに減速し、ピボットポイントを確定させなくてはならない。)

今日扱うのは後者の「パスを投げてない時のトラベル」についてです。

こちらのトラベルの再開方法について、間違った再開方法で日本中に浸透してしまっています。

パスを投げてないトラベルとは?

まずはパスを投げてない時のトラベルについては、バスケットボールの「トラベリング」と近いものがあります。

もっと早く減速できるできるのに必要以上に歩いたりするとトラベルとなります。

18.2.2. ディスクをキャッチした後、スローワーは進行方向を変えることなく、可能な限り速やかに減速し、ピボットポイントを確定させなくてはならない。
18.2.2.1. ただし、以下の場合に限り、走ったりジャンプしたりしているときにディスクをキャッチした選手は、減速することなく、またピボットポイントも確定させずにパスを出すことができる。
18.2.2.1.1. パスをリリースするまで、方向を変えたり加速したりしない場合。
18.2.2.1.2. ディスクをキャッチしてからパスをリリースするまでの間に、地面との接触点が最
大で 2 つになる場合。

WFDFアルティメット公式ルールより引用

進行方向を変えることなくというところも意外とみそで、ミートからシュートを打つ際に横にステップを踏んだりするとトラベルの対象になったりします。

18.2.2.1.は走りながらキャッチした後そのままパスしても大丈夫になった2020年に改定されたルールなのでこのついでに覚えておきましょう。

今回話したい部分はスローワーがディスクを持っている状態でのトラベルです。

18.2.5.1. スローワーが、不適切な位置にピボットポイントを確定させた場合(キャッチした後に可能な限り速やかに減速しなかった場合や、キャッチした後に方向を変えた場合を含む)。

WFDFアルティメット公式ルールより引用

こちらのルールを守らなかった場合のことになります。

日本に浸透してしまっているトラベルコール後の間違った再開方法

18.2.5.1. スローワーが、不適切な位置にピボットポイントを確定させた場合(キャッチした後に可能な限り速やかに減速しなかった場合や、キャッチした後に方向を変えた場合を含む)。

WFDFアルティメット公式ルールより引用

こちらのルールに違反した後に現状日本の試合を見ていると次のような再開方法が取られています。

  1. ディスクを保持したスローワーが必要以上に歩いた為、ディフェンス側が「トラベル」をコールする
  2. 「トラベル」コールされたスローワーがだいたいの位置に戻る
  3. ”セルフでチェック(地面にディスクをチョン)”で再開する

という感じだと思います。

どうですか?違和感ありませんか?これが正しいと思うし、この方法でやってしまっていませんか?

この方法にはとんでもない違和感があります。

現状日本のトラベルコール後再開方法の違和感

よく考えてほしい(考えなくてもわかる)のですが、このトラベルで反則を取っているのはディフェンス側です。

なのに、オフェンス(スローワー)が自分の都合で”セルフでチェック”して勝手にプレーを再開しています。

これ普通に考えたらおかしいですよね?ディフェンス側がオフェンスに対して反則をコールしているのにオフェンスの都合でプレーを再開。

どう考えても変です。2回同じことを言ってしまいました。

でもこのやり方が日本で浸透してしまっています。

プレイヤーの皆さんはここに違和感を感じて欲しいところです。

スロー時ではない「トラベル」の正しい再開方法

ではスローを投げていない時の再開方法を解説していきます。

18.2.5.1. スローワーが、不適切な位置にピボットポイントを確定させた場合(キャッチした後に可能な限り速やかに減速しなかった場合や、キャッチした後に方向を変えた場合を含む)。

WFDFアルティメット公式ルールより引用

今から解説するのは上記のスローワーがディスクを投げてない時のトラベルの場合ですのでご注意ください。

「トラベル」コールをオフェンスが認めた場合

「トラベル」コールをオフェンスが認めた場合の処理は以下のようになります。

18.2.6. 「トラベル」のコールがオフェンス側の選手によって認められた場合、プレイは中断しない。
18.2.6.1. スローワーは、トラベル・インフラクションをコールした選手が指示する位置にピボットポイントを確定する。両者(スローワーとコールをした選手)は、遅延することなくピボットポイントの位置を修正しなくてはならない。
18.2.6.2. ピボットポイントが正しい位置に確定するまでストールカウントは中断し、スローワーはディスクを投げることはできない。
18.2.6.3. ストールカウントを再開する前に、マーカーが「ストーリング」と発声する必要はない。

WFDFアルティメット公式ルールより引用

ということなので

  1. ディスクを保持したスローワーが必要以上に歩いた為、ディフェンス側が「トラベル」をコールする
  2. 「トラベル」コールをした選手が軸足の位置(ピボットポイント)を指示する
  3. 「トラベル」をしたスローワーは指示のある場所にピボットポイントを確定する
    移動している間ストールカウントは中断する
  4. 正しい位置(コールした選手が指示した場所)に戻ったら、ストーリングはカウントを再開しプレー再開

ほとんどの場合はこちらの処理になると思いますので良く覚えておきましょう。

大事なことは「トラベルコールをした側の選手が指示する位置にピボットポイントを確定させる」というところです。

なのでオフェンスが勝手にセルフチェックしている現状の再開方法だと、ディフェンス側の意見は全く反映されてません。#そもそもこんなタイミングでチェックはいらない。

ディフェンスが反則を取っているのだからスローワーは”トラベルを認めた場合”ディフェンスの指示に従ってピボットポイントを修正するようにしましょう。

「トラベル」コールをオフェンスが認めなかった場合(コンテスト)

上記はあくまでもスローワー(オフェンス側)が”トラベルを認めた場合”の処理です。

次はスローワーが”トラベルを認めなかった場合”を確認します。

18.2.9. トラベル・インフラクションのコールに対してコンテストが発生し、ディスクが手から離れていない場合、プレイは中断する。

WFDFアルティメット公式ルールより引用

スローを投げていない状態で「トラベル」コールをされたスローワーが、コールに対して認めない場合は「コンテスト」となる為、プレイは中断します。

スローワーはディスクを投げてないので、「歩いた」「歩いてない」や「キャッチした後に方向を変えた」「方向は変えてない」という議論になってくるはずです。

その後の展開としては、

  • トラベルコールした側がスローワーの主張を認めてスローワーの主張する場所からチェックにてプレーを再開する
  • スローワーがトラベルコールを認めて、コールした選手の指示する場所に戻ってチェックにてプレーを再開する

のどちらかになるかと思います。

何れにしても、オフェンス側がトラベルコーツを認めなかった場合、プレーは中断されて「チェック」にて再開ということを覚えておきましょう。

おまけ:ストーリング以外はトラベルコールしない方が良い

「トラベル」コールはコート内にいるディフェンス側の選手なら誰でもコールすることができます。

ただ、コールをした後は「スローワーは、トラベル・インフラクションをコールした選手が指示する位置にピボットポイントを確定する。」ということになるので、ストーリング以外の選手がコールをしてしまうと、ピボットポイントの指示が難しくなってしまいます。

しかも基本的にこの状態(コンテストになっていない状態)では、プレーは中断されていないので、コールした選手のマーカーは自由に動くことができます。

マンツーマンで自分のマーカーを抑えながら、スローワーのピボットポイントを正しく指示出すことはとても難しいので、投げていない時の「トラベル」コールはストーリングに入る人ぐらいしかできないのかなと思います。

まとめ

というわけで今日はスローワーが歩きすぎなどの投げてない時のトラベルの再開方法について解説しました。これを機に日本のトラベル後の処理がうまくいくことを願っています。

ぶっちゃけ言うと個人的には「トラベル」コールはあまり好きではないコールです。

「その後のプレーに影響したかどうか」という軸から考えた時に、そうじゃないような気がすることが多いし、「軸足がちょっと動いた」なんてそんな小さいこと気にしながらプレーするのはつまんないと思うからです。

だからと言ってもちろんルールを破って良いということではありません。ルールを守る努力をしている前提です。

ただそのルールを逆手にとって「トラベル」コールを取ることを目的に、足元ばかりを見たりするのはなんか気持ち良くないですよね。

今後もルール周りで気になったことがあれば発信していきたいと思います。

興味があればまた読んでみてください。

ではまた。

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