日本アルティメットチームにホライゾンOFをするチームが少ないのはなぜか?

オフェンス
この記事を書いた人
能勢 雷人

大阪体育大学BOUHSEARS(2007~2010)〜文化シヤッターBuzzBullets(2011~2022)〜Bustar
ポジション:ハンドラー
日本代表歴:2010WU23UC、2011,2015,AOUC、2012,2016,WUGC、2024WMUC
埼玉県フライングディスク協会事務局長
JFDA公認ゲームアドバイザー
U.C.ABLAZERS(ユースチーム)創設

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こんばんは。BuzzBulletsの能勢です。

早速質問頂きました。ありがとうございます。

具体的な呼び方など地域等によって違いがある可能性があるので自身の知っている呼び方で書いていきますのでご了承ください。

Q.日本でホライゾンをメインでやるチームがほとんどありませんがなぜでしょう?

個人的な結論から言うと「ホライゾンは成熟させるのに時間がかかるから」だと思います。以下解説していきます。

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ホライゾンとは?

まず「ホライゾン」というのは「水平」という意味で「ホライゾンタルオフェンス」のことです。

オフェンスの形の一つであり、垂直にスタックを作って攻める「バーティカルオフェンスに対して、ホライゾンタルにプレイヤーがポジショニングして攻めるオフェンスの形です。

画像を交えてもう少し説明していきます。

ホライゾンタルスタック


「ホライゾンタルスタック」は画像のように攻める方向に対して、ハンドラー3人、ミドル4人という配置が一般的です。

水平に4人並んでいるミドルの前後に大きくスペースがあり、奥のスペースが広いためシュートが狙いやすいというメリットがあります。

バーティカルスタック

一方で「バーティカルスタック」はコートに対して垂直に一直線にスタックを作って攻める方法です。

スタックの左右に大きくスペースがあり、そのスペースに対して1対1を仕掛けて攻めて行くのが一般的です。

他にも沢山オフェンスの形がありますが現在日本ではこの2種類が主流となっています。

ホライゾンが採用されにくい理由

上記二種類のオフェンスを紹介しました。そんな中での質問に対する私なりの回答が

ホライゾンは成熟させるのに時間がかかるから

となります。

恐らく質問者の方は大学生だと想定していますが、確かに最近の大学生の中でホライゾンを採用しているチームは少ないなと私自身も感じています。

私自身が大学生の時(2007〜2010頃)は逆にホライゾンのチームが多かった様に思います。特に当時の強豪校はほぼほぼホライゾンでした。

日本でのホライゾンの歴史・背景

これには時代の背景もあるようなのでその辺をもう少し解説します。

ホライゾンが始まったのは2000年頃と言われており、2000年前半に北米の強豪チーム(サカイ・アメリカやフュリアスジョージ・カナダ)が採用していた事で2000年代の主流のオフェンスの形となりました。

そして遅れる事、数年後に日本でも採用されるようになり、バズを始め多くの日本チームがホライゾンを採用していったという流れがあるようです。

なぜ大学生がホライゾンをやめたのか

それではなぜ大学生チームがホライゾンをやめてしまったのか。

繰り返しになりますが、それはやはり「時間がかかるから」だと思います。

大学生アルティメットは一年毎に人が入れ替わります。

現状日本のアルティメットは基本的に大学生から始める人が多く、覚えることが沢山あり、戦術の理解を深める所まで行くのに時間がかかります。

  • ホライゾンはスペースを空ける動き(オフ・ザ・ディスク)や、互いの連携の部分が非常に大きく影響する
  • ミドルにパスをする際、両隣のDFにポーチカットを狙われやすいといったようなデメリットもありスローワーの判断力やスロー力が必要になる
  • フィールドにいる7人が戦術やスペースを理解して攻めて行く必要がある。

上記のことを大学在学中の期間だけで高めることが出来ずに採用に至らないのではないかと推測しています。

以前ホライゾンをやっていた強豪チームもバーティカルスタックに戻っているため大学生でホライゾンをやるチームが少なくなっているというのが現状です。

母校の大阪体育大学も今はバーティカルスタックです。ホライゾンにしたいという思いもあるようですが、そもそもよくわからないとか、変えるのが大変とかで採用できていないという状況のようです。

逆になぜバーティカルスタックなのか?

ではなぜバーティカルスタックの方が良いのか?という所ですが、極端に言えば、2人または3人投げれる人と取れる人(上手の人)がいれば始めたばかりのチームでも点が取れてしまうからです。

バーティカルの場合、左右に開いた大きなスペースで1対1を仕掛けミートかシュートで貰うことができます。

レシーバーは1対1に時間をかけることができるし、スローワーもレシーバーをじっくり見ることができます。

10カウントになる前に逃げることさえできれば3人いれば点は取れます。他の4人は自分の相手DFがポーチカットしに行かないように注意していれば良いだけです。

実際に私が大学4年の時?当時学生本選に出たことが無かったチームをほぼ2人のパス回しで本戦出場していた関西の某チームもありました。

バーティカルの方が初めてやる人にもわかりやすく、7人全員が上手でなくても攻めることが出来るため4年間という少ない期間の中でも使いやすいのではないでしょうか。

自分たちで考えることが大事

それでもホライゾンにはホライゾンの良さがあり、楽しさもあります。

大学生チームでも沢山考えて、チームメイトと話し合い、練習すれば採用可能だと思います。

難しいことも多いですが、自分たちで考えたオフェンスやサインプレー、セットプレーが決まった時は楽しいですよ。(これはホライゾンに限りませんが)

自分たちで考えた、自分たちしか知らないOFが相手に通用するかどうか、って授業中にノートにぐちゃぐちゃ書いている時間も大切です。

それこそがアルティメットの楽しいところだと思います。

正直形なんてどんな形でも自分たちのチームで考えた最強の点の取り方が成立すればそれが正解だと思いますので、これからもいっぱい考えて実践していってほしいと思います。

まとめ

まとめると

ホライゾンは戦術理解やスロー力が必要で、7人全員で攻めるOFであり、オフェンスを成熟させるのに時間がかかるため、大学チームで採用するのが難しくなり採用するチームが減っていったと思われる。

ということになります。

できないことではないと思いますので、チームでしっかりと話し合い、「あーでもないこーでもない」とコミュニケーションをしっかり取りましょう。

授業中にノートぐちゃぐちゃに書くのは良いですが単位はしっかりとりましょうね笑

まだまだ質問お待ちしております。

質問はこちらからhttps://twitter.com/raito_ultimate/status/1140540456901603330