「アルティメット」WUGC2016日本代表メン部門準々決勝ベルギー戦の試合分析

世界大会・海外遠征
この記事を書いた人
能勢 雷人

大阪体育大学BOUHSEARS(2007~2010)〜文化シヤッターBuzzBullets(2011~2022)〜Bustar
ポジション:ハンドラー
日本代表歴:2010WU23UC、2011,2015,AOUC、2012,2016,WUGC
埼玉県フライングディスク協会事務局長
JFDA公認ゲームアドバイザー
U.C.ABLAZERS(ユースチーム)創設

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こんばんは、バズバレッツの雷人です。

今日は七夕です。それから「アルティメットの日」でもあります。

さて、すっかり更新頻度が下がってしまってしまい久々の投稿になります。

本日は「WUGC2016日本代表メン部門準々決勝ベルギー戦の試合分析」です。

動画を見る際にどんなところに注目しているのかという質問をいただくことがありますが、今回は意外なところに着目してみました。

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WUGC2016日本代表メン部門準々決勝ベルギー戦の試合分析

今回スコアリングして分析した試合は2016年に行われたWUGC(世界アルティメット&ガッツ選手権大会)のメン部門準々決勝のベルギー戦です。

日本にとってはトーナメント初戦であり、勢いをつけて準決勝に駒を進めていきたい試合でありました。また、日本で行われた2012年の同大会ではこのベスト8の戦いで敗れていた為、かなり気合いの入る試合でした。

最終スコアとしては15−10で勝利し、ベスト4に駒を進めました。

スコアリングのツール

今回試験的にいつもこのブログで使用しているアプリ「Sports Board For Ultimate」の「Score Board」という機能を使ってスコアリングを行いました。

アプリについては別記事で使い方など紹介しています。(参考記事「アプリの使い方・スコアボード編」)まだインストールしてない人はぜひ使ってみてください。(参考記事「当サイトで使っているアプリの紹介」)

試合をオンタイムでスコアリングしていき、終わったらCSV出力しエクセルで編集することができます。

実際に編集したエクセルのリンクを貼っておきますので興味ある人は見てみてください(2016WUGC quarterfinal BEL戦スコアシート

自分たちの試合や練習試合、身内練習でもいつもスコアリングできて管理できてると嬉しいですね。是非みなさんも使ってみてはいかがでしょうか。

スコアリングをして見えた事

今回改めてスコアリングをしたことで見えてきたことを紹介していきます。

先に書いていくと

  • ベルギーはトランジションを多用
  • 日本のマンツーDFは全てサイドアップ
  • ゾーンDFで連続ブレイク
  • 外の声
  • DF会議が行われている
  • 15点目のセットプレーが完璧

という感じです。

あまり試合内容としては目立った内容はなかったのですが、今回は「外の声」というところが特に良いネタになっていると思いますので紹介します。

それぞれ解説していきます。

ベルギーはトランジションを多用

ベルギーのディフェンスは最初にゾーンから入ってパス数本でマンツーマンディフェンスに切り替える「トランジション」を多用していました。(関連記事「トランジションのやり方」)

日本のオフェンスは最初にセットプレーをすることが多かったので、それを防ぐ意味でも最初にゾーンディフェンスから入っていたのではないかと予測します。

その為、この試合に関してはシュートの本数が他の試合よりもかなり少なくなっており、ベルギーのディフェンスとしてはうまく機能して狙い通りのディフェンスができていたのではないかと思います。

日本のマンツーDFは全てサイドアップ

なぜだか忘れてしまいましたが、日本のマンツーマンディフェンスは全てサイドアップでした。

試合前半からサイドアップでのマンツーマンに対して「効いてる」という声が出ているのでチーム全体としてサイドアップが効いているという感覚があったので1試合通してサイドアップで通したのだと思います。

とはいえ試合の中で一貫してトラップを変えないというのは珍しいと言えば珍しい事です。

ゾーンDFで連続ブレイク

前半4−3からのターンで攻撃的なゾーンでブレイク、その後「2−3ゾーン」で連続ブレイクをしています。

ゾーンは試合全体で3回しかやっていないのですが、2回ブレイクしていることから実はベルギーはゾーンオフェンスが苦手だったのかもしれないです。

それなのになぜゾーンを多用していないのか?という疑問があるかもしれませんが、この時のチームのゾーンの位置付けが「ギャンブルゾーン」と「時間稼ぎ」になっており、あくまでもマンツーマンディフェンスを主体にしていくということだったからです。

実際に大会中でもマンツーマンディフェンスが良くなっていっている実感がチームとしてあったのでそこまでゾーンを使ってないということになります。

外の声

今回私がこの動画で一番注目した部分はこの「外の声」です。

プレー面でないところでの「外の声」の重要性については過去記事でも解説しています。
出場機会が少ない選手がコート外でも出来ること
ディフェンス時コート外からの声の出し方

この動画ではマイクがグラウンドレベルにあったせいか、コート外の選手が出している声がかなり拾われています。

外の声

51:45ぐらいからの松野さんの声は圧巻です。ちなみに松野さんはオフェンスセットですが、ディフェンスのためにここぞと言わんばかりに声を出していて、その結果かどうかわかりませんがターンオーバーが起きてブレイクまで繋がっています。

外からの声でコート内の選手を助けることができることがわかりますし、どんな声を出しているのかということもわかる動画だと思いますので次見るときは「耳」に集中して見てみましょう。(スコアシートでは赤文字で外の声を表記してます。)

DF会議が行われている

試合中、コート外でディフェンス陣の会議が二度(試合時間で言うと10:20、59:04あたり)行われています。

得点された後のオフェンスが始まるまでの短い時間で、ディフェンスとしての共通認識を確認する意味でのコンパクトな会議が行われています。

これはチームとしてディフェンスをしているからこそ大事であり、一本も無駄なセットを生み出さないためにも重要なことです。

コート内で体現するのはセットに選ばれた7人になりますが、ディフェンスが何をしようとしているかは全体で共有しておきたいものです。

それは前述した「外でどんな声を出すか」と言うことにも繋がってきます。

15点目のセットプレーが完璧

日本マッチポイントの68:30〜のセットプレー(2〜11〜10)はとても綺麗に決まっています。

これは2015年ごろにバズでやっていた「Tスタック」のセットプレーの一つです。

QBがブリックに到達する前に何やら手前の2人がボソボソ会話をしており(多分どっちの方がシュート打ちやすいか確認してどっちが打つか決めている)その後、セットプレーを成立させパス二本で試合を決めるポイントをとっています。

セットプレーは自分たちで考えて、それが試合で決まると楽しいので是非いろいろ考えてチャレンジしてみましょう。

戦わずして勝っていた?

試合後の話でベルギーサイドから聞いた話によると、「試合前の日本のウォーミングアップを見て勝てないと思った」と言っていたそうです。

日本チームのウォーミングアップのまとまりと勢いにベルギーは圧倒されてしまっていたのかもしれません。

これもあるあるですよね。

強豪チームのアップを見て「強そ〜」と思ってしまっている時点で、相手を上に見てしまっており、これでは勝てる試合も勝てなくなってしまいます。

そもそもですが、ベルギーは目標がベスト8だったらしく、世界一を狙っていた日本とはすでに目標において差があったみたいです。

まとめ

今回の試合を分析して、試合の内容的にはそこまで大きな見所はありませんでしたが、「外の声」の部分では学ぶべきところは沢山あるのではないかと思います。

どういったタイミングでどんな声を誰にかけているんだろう?と思いながら、動画を見てみるのも一つの見方になります。

次回動画を見る際は「耳」にも集中して見てみましょう。

ということで今日はこの辺で。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

それではまた。