こんばんは、バズバレッツの雷人です。
本日5月18日は私が勝手に東京のお父さんと思っている方の誕生日です。
いつもチームとしても個人としてもお世話になっている方ですが、これからもアルティメット界を支えて欲しい存在であります。
さて今日は昨日投稿した記事「2016大学選手権決勝を観て」の中で少しだけ触れた内容で「試合の1本目にゾーンを使う戦術について」解説してきます。
昨日投稿直後に質問いただきました。
1本目にゾーンを持ってくる戦術の記事、とても読んでみたいです!!
と、とてもレスポンス早く質問いただいたので、私もレスポンス早く回答したいと思い今日の内容に採用しました。
この記事を読むことで、戦術的に1本目にゾーンを使うメリットやデメリットを理解でき、より狙いを持って試合を組み立てられるようになります。
※私個人としてはゾーンは得意なので好きですが、ディフェンスの基本はあくまでもマンツーマンディフェンスです。この記事がゾーンを推奨しているものではないという理解の上読んでいただきますようお願いいたします。
試合の1本目にゾーンを使う戦術
昨日2016年に行われた全日本大学アルティメット選手権大会決勝戦のYouTube動画を観て、びわ湖成蹊スポーツ大学が試合開始の1本目にゾーンを採用していました。
これは推測になるのですが、この試合びわ湖としてはゾーンにある程度の自信があったか、日体大の足を使ったオフェンスを防ぎたかったのかと思います。いずれにしても、びわ湖のディフェンスはゾーンディフェンスをメインとした戦い方でした。
そこで試合の1本目にゾーンを使うことについてどんな戦術的なメリットやデメリットがあるのか過去にチームで考えたことがあるので紹介していきます。
あくまでも相手チームを知らない状況の15点ゲームの試合で、マンツーマンディフェンスをメインとして考えているので、試合の中でゾーンを使う回数は2〜3回もしくは多くて4回程度の想定で話を進めます。
日本は大会によって試合形式が異なる(特に短いことが多い)ので、そこはうまく捉えていただければと思います。
1本目をゾーンDFから入るメリット
まずはメリットから考えていきます。
試合の1本目からゾーンディフェンスで入るメリットとしては
- 相手にゾーンディフェンスが効くかどうか把握できる
- 相手の足を止める
- 相手のセットプレーを消す
と言ったところです。
それぞれについて少し深掘りします。
相手にゾーンディフェンスが効くかどうか把握できる
最初に「相手にゾーンディフェンスが効くかどうか把握できる」というメリットがあります。
これは単純に相手のオフェンスとの相性を確かめることができるということです。
私はゾーンディフェンスには相性があると思っていて、効くチームには効くし効かないチームには効かないと思っています。言い換えると全てのチームに効く万能ゾーンはないということです。
なので、自分たちのゾーンが相手のオフェンスと相性が良いのかどうかを最初に確かめることができるというメリットがあります。
ゾーンオフェンスに対して苦手意識がありそうかどうかも感じ取れることができたらベストです。
相手の足を止める
二つ目に「相手の足を止める」ことができることです。
試合開始直後はプレイヤーの心境としては、「上がっている(緊張という意味ではなく良い意味で)」状態であることが多いです。
やってやるぞーってなっているところで、いきなり変化球のゾーンディフェンスが来ると「あれっ」という不意をつくことができます。
そうすることで、相手の出だしの勢いを止めることができるので結果として「足を止める」ということに繋がります。
そもそもゾーンディフェンスだからと言ってオフェンスは足を止めるべきではないのですが、そうなりがちだということです。
相手のセットプレーを消す
最後に「相手のセットプレーを消す」ことができることです。
オフェンスとして試合の最初に持って来るプレーはなんでしょうか?
それは、”自分たちのチームで一番自信のあるプレー”であることが多いかと思います。
1本目にゾーンディフェンスをすれば試合開始直後にされるであろう”一番のオフェンス”を防ぐことができます。
オフェンス1本目を良いかたちで得点できるとチームに勢いが生まれることがあります。
それを防ぐことでひとつの流れを止めることができるのです。
1本目をゾーンDFから入るデメリット
それでは逆に1本目をゾーンDFから入るデメリットを考えていきます。
メリットの逆説を考えれば良いのですが、デメリットとしては
- 相手のマンツーマンの攻め方を見れない
- いきなり自分たちのゾーンDFを見せてしまうことになる
となります。
相手のマンツーマンの攻め方を見れない
まずは「相手のマンツーマンの攻め方を見れない」というデメリットです。
マンツーマンを基本としているチームにとって、ゲームの序盤で相手のオフェンススタイルや攻め方を知ることが最優先事項になります。
どんな陣形で、どのエリアを中心に、どの選手が使って来るかなどを前半の中盤ぐらいまでに掴んでいくことが求められます。
あえて言えば「相手の得意とするオフェンスをさせる」ことで次なる対策を打つことができるようになるので、最初にゾーンをしてしまうとそのオフェンスが見れないというデメリットがあります。
簡単に得点を取らせるという意味ではなく、相手のオフェンスの傾向を探るということです。
いきなり自分たちのゾーンDFを見せてしまうことになる
二つ目のデメリットとしては「いきなり自分たちのゾーンDFを見せてしまうことになる」ということです。
ゾーンに自信があったとしても、早めにゾーンを見せてしまうと攻略されるスピードが早まる可能性があります。
複数のゾーンがある場合は別問題ですが、ゾーンを攻略されてしまうとその後にゾーンを使いづらくなってしまうデメリットがあります。
1セットでゾーンの穴を攻略される可能性は限りなく低いとは思いますが、その後にゾーンを使ったときにはある程度情報がインプットされた状態になるのでオフェンスとしてのゾーンに対する心持ちが変わってきます。
ゾーンディフェンスの目的
そもそものゾーンディフェンスの目的を考えたときに、やはり「時間稼ぎや次のマンツーマンをより効かせる為の布石」として使いたいと考えます。(関連記事「ディフェンスにおける戦術の組み立て方」「ゾーンディフェンスのざっくり概要」)
チームにおいてのゾーンディフェンスのコンセプトによって考え方は変わって来るとは思いますが、マンツーマンを軸として考えれば基本的には1本目にゾーンを持って来ることはあまりありません。
相手の情報がある程度わかっている状況などケースバイケースなことももちろんあります。
大事なのは自分たちのチームの中でゾーンディフェンスのコンセプトがはっきりしていてチーム内で共有できていることです。
結論、ファーストディフェンスでゾーンはどうか
メリットとデメリットを踏まえた上で、「ファーストディフェンスでゾーンをする」ことは私個人としては”無し”かなと思います。(あくまでも知らない相手と15点ゲームの場合です。)
と言っても”奇策”的な扱いになるので、絶対にしないかと言われるとそうではありません。
メリットが十分に発揮されそうなチーム相手にする場合であればやるでしょうし、そうでなければやらないと思います。
ケースバイケースです。
そのケースの引き出しを多くするためには、いろいろな戦術を練習試合などの実践で試してみることが大事になります。
なんでもやってみることが大切です。
やってみて、結果が出て、それに対してどうするか。
何においても重要なことですね。
まとめ
試合の1本目をゾーンディフェンスで入ることは、メリットもありデメリットもあることを理解して、自分たちのチームの中でコンセプト通りになるのであれば戦術として採用してみるのもありかなと思います。
こんなことをどれだけ言っても机上の空論になりますし、結果論でしか良し悪しは語れないので練習試合などの中で色々と試してみることが重要です。
試合を重ねる中で、いつもと違う戦術の組み合わせをしてみたりする事で多くのパターンがチームの中に生まれます。
そうして大事な試合で不足の事態が起こった時に、経験としてやったことがあるパターンが多ければ多いほど柔軟に対応できるはずです。
戦術は考えれば色々出てきますが、実践するのはコート内にいる7人なのでそのプレイヤー1人ひとりが戦術を理解してプレーできる状態になると最高ですね。
となるとやはり大事なことは「コミュニケーション」になるのでこんな時期でもできるコミュニケーションはあると思いますので、気持ちを切らさずできることをやりながら前に進みましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
それでは今日はこの辺で👋